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『アウシュヴィッツの小さな厩番』と『ハンナのかばん』の本から思うこと

雑記

『アウシュヴィッツの小さな厩番』
著 ヘンリー・オースター/デクスター・フォード
訳 大沢章子

5歳だったユダヤ人の男の子が
アウシュビッツ等の4つの強制収容所を経て
奇跡的に生き延びた実話です。

奇跡的に生き延びた、
という言葉では安易過ぎる表現だけど、、

度重なる幸運もあり
それに加えて
生き延びたい、という強い意志と

どうしたら今日口にする食べ物を得るか、
どうしたらドイツ兵に見つからないよう
あのガス室に送られないよう母と身を隠すか、
どうしたら強制収容所で
数日でも長く生き延びるために仕事を得るか、、

など子供ながらに知恵を振り絞り
飢餓と恐怖と悲しみに耐えた日々や

強制収容所での、残酷で生々しい様子が
驚くほど鮮明に詳細に描かれていました。

この本を読み進めるのが怖く辛くなりながらも
読むのを止められませんでした。

ホロコーストで犠牲になったユダヤ人は600万人 
そのうち子供は150万人

アメリカ軍がアウシュビッツに到達して囚人たちを救ったあと、
飢えた人たちは
食べ物にありつけた勢いで
お腹いっぱい食べ始めるのですが、

何日も空腹の状態から
いきなり食べ物を胃に入れるのは危険だと、
ヘンリーはアメリカ兵に止められ、
そこでも命拾いしました。

しかし解放されたものの
自分には帰る場所も家族もない、
守ってくれる場所も人もいない。

故郷のドイツは二度と帰るまいと決めていた。

ある意味
収容所で監視され強制労働されていた時のほうが
役割を得ている実感があったとさえ書いてある。

いきなり自由を前にして戸惑う気持ち、、

今日本で暮らす私には想像したことがないものでした。

しかしまた幸運が訪れ、
アメリカに住む親戚がヘンリーを見つけてくれ 
憧れのアメリカへ行くチャンスを得ました。

ここでも、
お金も人脈もないと立ち尽くすヘンリーに
またもや助けてくれる人達が現れました。

フランスから船でアメリカへ到達し
自由の女神を見たときのヘンリーの気持ち、、

こちらまで胸が高まるようでした。

他の元収容所仲間が
自由を謳歌し始める中

ヘンリーは叔父の仕事の手伝いと勉強に励み
カリフォルニア大学(UCLA)に進みます。

ユダヤ人という理由で希望の大学に入れず
偶然、オプトメトリー(眼の専門分野)の大学に
入学する事になります。

その後26年大学の准教授を務め、
ボランティアで多くの人の検眼に貢献し、

85歳になるまで検眼士として勤める傍ら
自身も56年間、検眼店を経営
検眼協会の会員としても最後まで貢献したそうです。

自分が生き延びることができたぶん、
世の中に貢献しよう、
それが唯一の自分の務めだという気持ちだったのかな・・

自分に与えられた命や時間を
限りなく生かして周囲の人を助けるために
尽力されたことが伝わってきました。

この本を一人でも多くの人に知ってほしいと思いました。

私は
さらにホロコーストのことを知りたい、
子供達にもこのことを話したい、と思い、

子供向けの本を探していたら

『ハンナのカバン』
著 カレン・レビン
訳 石岡史子

という本を見つけました。

息子と娘ほどの可愛い兄妹。

妹のハンナは
両親と共に13歳で強制収容所で亡くなりました。

兄のジョージさんは奇跡的に生き延びました。

私は、自分の息子と娘に話しました。

「ママは今日ね、この本を読んだんだ。

あなた達と同じ歳くらいの可愛い兄妹がいたんだけど
ある日突然、お父さんがどこかに連れて行かれてしまったの。

そのあと、お母さんがどこかへ連れ去られてしまい
二度と会えなかったの。

残った2人も、そのあと強制収容所っていうところに連れて行かれて
お兄ちゃんと妹は引き離されてしまったの。

お兄ちゃんは、妹を絶対に守るからね、
と約束したけれど
妹はガス室で殺されてしまって会えなかった。

アウシュビッツという所では、たくさんの罪のない人が
殺されたんだよ。
ユダヤ人という理由だけで。

こんな悲しいことが昔、世界では起きていたんだよ。

人種が違うとか、
人と違うっていう理由で差別することは
昔からずっとなくならないよね、 同じ人間なのに。」

びっくりした顏と
真剣な目で
私の話を聞いていた2人。


「ねえねえ、神さまが人間をつくったのに
そんなことしたら神さまが怒るんじゃない?」

息子
「ひどいね!
じゃあどうして今ウクライナとロシアは戦争してるの?」

などと質問されました。

自分の意見が正しいってどっちも思っていたら
分かり合えないよね。
2人も、ケンカしたら、どちらかがゴメンて言うまで終わらないよね。

みんな違うっていうことを
まず受け入れることが大切だよね。

などと話したけど。

なかなか簡単には説明できないなぁと思いました。

だけど、
世界で起きていることを
日頃から意識的に話題にして
子供たちにも
分かる範囲で知ってもらったり
興味を持ってもらうことは
続けたいと思います。

この2冊の本を読んだ日から、

ただ住む場所があって
食べるものがあって
家族がいるだけで
とても恵まれていて有難いことだ、
と、より強く思うようになりました。

そして、自分以外の人に
以前よりももっと寛容に、
優しくなろうとも思うようになりました。

ヘンリーさんが
2度と戻るまいと決めていた
故郷のドイツに
70年後に戻った時の話があります。

そこで話したのは

『憎しみは憎しみを生みます。
世界のあらゆる人種の人々が
「寛容」を目指すべきです』


ということでした。

重ねて、
このような本が、よりたくさんの人に知られたらと思います。

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